カスハラ指針の雇用管理上の措置義務として、事業主の方針明確化と従業員への周知・啓発を解説するイラスト
カスハラへの毅然とした対応と労働者保護の方針を周知し、具体的な対処方法を研修する職場のイラスト
事業主がカスハラに毅然と対応して労働者を保護する方針を明確にし、社内外への周知や研修を行う際のポイントを示しています。

概要

現在は、カスハラ指針について取り上げています。

今回から、指針で示されている「雇用管理上の措置義務」について解説します。

今回は、「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」です。

[ 義務の内容 ]

事業主は、職場におけるカスハラに関する方針の明確化、労働者に対するその方針の周知・啓発として、次の措置を講じなければなりません。

その際、職場におけるカスハラの発生の原因や背景には、商品・サービス・接客等における問題や顧客等とのコミュニケーションの不足などもあると考えられます。

そのため、職場においてこれらを幅広く解消していく取組みを進めることも、職場におけるカスハラの防止の効果を高める上で重要であることに留意します。

●職場におけるカスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。

職場におけるカスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を顧客等に周知・啓発することも、被害の防止に当たっては効果的です。

周知に関する対応例は、次の通りです。

- 社内報、パンフレット、社内ホームページ等広報又は啓発のための資料等に職場におけるカスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を記載し、配布等すること。

なお、トップメッセージとして当該方針を広く社内に発信することも考えられます。

- 職場におけるカスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を労働者に対して周知・啓発するため、職場におけるカスハラへの対処の内容と併せて研修、講習等を実施すること。

●職場におけるカスハラの内容及びあらかじめ定めた職場におけるカスハラへの対処の内容を、管理監督者を含む労働者に周知すること。

職場におけるカスハラが発生し、その場で労働者から管理監督者等に報告があった場合や管理監督者等が現認した場合は、当該管理監督者等が直ちに適切な対応を行うことが必要な場合もあることを踏まえ、その内容を定めます。

また、当該事業所において発生しやすい職場におけるカスハラの例や、商品・サービス・接客等における問題や顧客等とのコミュニケーションの不足などが職場におけるカスハラの発生の原因や背景となり得ることを併せて周知することも考えられます。

対処の内容例は、次の通りです。

- 労働者から管理監督者等に直ちに報告し、その場の対応の方針について指示を仰ぐこと。

- 可能な限り労働者を一人で対応させないこと。また、必要に応じて当該労働者に代わって管理監督者等が対応すること。

- 顧客等とのやり取りを録音・録画すること。なお、録音・録画に当たっては、顧客等の個人情報を適切に取り扱うこと。

- 労働者から十分な説明を行った上で、なお繰り返しの要求が続く場合には、一定の時間の経過をもって退店を求めたり、電話を切ったりすること。

- 暴行、傷害、脅迫などの犯罪に該当し得る言動については、警察へ通報すること。

- 現場対応が困難な場合においては、本社・本部等へ情報共有を行い、指示を仰ぐこと。

- 法的な手続が必要な場合には、法務部門等と連携し、弁護士へ相談すること。

また、周知に関する対応例は、次の通りです。

- 職場におけるカスハラへの対処の内容を定め、当該規定と併せて、職場におけるカスハラの内容を労働者に対して周知すること。

- 顧客等への対応に関するマニュアル等に、職場におけるカスハラの内容及び職場におけるカスハラへの対処の内容を記載し、労働者に対して周知すること。

- 職場におけるカスハラの内容及び職場におけるカスハラへの対処の内容を労働者に対して周知するための研修、講習等を実施すること。

意見・感想・解説

カスハラ対策では、単に「迷惑行為には対応する」と表明するだけでは十分ではありません。

重要なのは、会社として労働者を守る姿勢を明確にし、現場で迷わず行動できる具体的な対応ルールを整備することです。

特に、管理監督者がその場で適切な判断を求められるケースでは、報告先、対応の打切り基準、警察への通報基準などを事前に定めておく必要があります。

また、録音や録画を行う場合には、顧客等の個人情報を適切に管理することも欠かせません。

方針やマニュアルを作成しても、従業員が内容を理解していなければ、実際の場面では機能しません。定期的な研修や事例検討を通じて、管理職と従業員の双方が対応方法を確認しておくことが重要です。

ハラスメント対策研修のご案内

カスハラ対策を実効性のあるものにするためには、方針やマニュアルの整備に加え、管理職と従業員が具体的な対応方法を理解しておくことが重要です。

坂本直紀の研修では、カスハラが発生した際の初期対応、管理職への報告、対応の打切り、警察や専門家との連携などを、実務に即して分かりやすく解説します。

 

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(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ

一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。

 

研修講師:坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員

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