積立有給休暇制度の特徴を解説するイラスト。未消化の年次有給休暇を年5日、最大60日まで積み立て可能で、育児休業・家族介護・病気療養・骨髄バンクドナー・性別不合に関する治療など13種類の使用要件があることを紹介。
積立有給休暇制度について人事担当者が社員に説明する漫画風イラスト。未消化の年次有給休暇を年5日まで積み立て、最大60日までためられることや、育児・家族介護に加えて骨髄バンクドナー、性別不合に関する治療・療養など13種類の使用要件があることを紹介。
未消化の年次有給休暇を積み立て、育児や家族介護、骨髄バンクドナー、性別不合に関する治療・療養など多様な事情に活用できる制度を解説。

【概要】

あるICTソリューション事業の会社では、「積立有給休暇制度」を導入しています。具体的には、次の内容が特徴的です。

1.未消化の年次有給休暇を年5日、最大60日まで積み立てられます。

2.積立有給の使用要件は、13種類あります。育児休業、家族介護のような比較的よくみられる要件以外に、例えば、骨髄バンクドナー、性別不合に関する治療・療養といった、特徴ある要件も設けられています。

【意見・感想・解説】

今回は、「積立有給休暇制度」について、取り上げました。「ストック制度」などとも呼ぼれています。いわゆる失効した年休を積み立てておき、一定の要件に限定して、取得可能とする制度です。

一般的に、日々の業務に追われ、付与された年休を取得できず、失効することがあります。そうした場合に、一定の事由が発生したときに過去の消滅した年休がいわば復活する制度ですので、比較的、労使が納得しやすい面もあります。私もお勧めの制度です。

なお、今回は、使用条件が13種類も設けられているのが特徴的です。

本人病気療養、育児、介護はよくみかけるのですが、骨髄バンクドナー、性別不合に関する治療・療養等も対象としています。社員の多様性に配慮しており、社員にとって安心できる制度と言えますね。

とても参考になる事例です。

今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。

会社から社員へのメッセージ例

社員の皆様へ

いつも日々の業務に真摯に向き合い、会社を支えてくださっていることに、心より感謝申し上げます。

会社の成長は、社員の皆様一人ひとりの力によって支えられています。だからこそ当社は、社員の皆様が安心して働き続けられる環境を整えることを、とても大切に考えています。

人生には、仕事だけではなく、育児、介護、治療、家庭の事情など、さまざまな出来事があります。そうした大切なライフイベントに直面したとき、仕事を続けたいという思いがあっても、休暇の不足に不安を感じることがあるかもしれません。

そこで当社では、未消化となった年次有給休暇を積み立て、必要なときに活用できる「積立有給休暇制度」を整えています。育児や介護はもちろん、本人の治療・療養、骨髄ドナーへの協力、性別不合に関する治療・療養など、多様な事情に対応できるよう配慮しています。

この制度には、「社員の皆様の人生に寄り添いたい」「どのような事情があっても、安心して会社に在籍し、働き続けてほしい」という会社の思いが込められています。困ったときに一人で抱え込まず、必要な制度を利用しながら、安心して仕事と生活の両立を図っていただきたいと願っています。

会社は、社員の皆様をかけがえのない存在として大切に思っています。これからも、誰もが安心して長く働ける職場づくりを進め、互いに支え合える温かい会社であり続けたいと考えています。

社員の皆様には、どうか無理を重ねすぎることなく、必要なときには遠慮なく制度を活用してください。そして、これからもこの会社で安心して力を発揮し、長く活躍していただけることを心から願っています。

代表取締役社長〇〇〇〇

積立有給休暇制度規程例

(目的)
第1条 本規程は、社員がやむを得ない事情により通常の年次有給休暇のみでは対応が困難な場合に備え、失効した年次有給休暇の一部を積み立てて使用できる積立有給休暇制度に関し、必要な事項を定めることを目的とする。

(適用対象者)
第2条 本規程は、当社に勤務する社員のうち、年次有給休暇を付与されるる社員に適用する。積立有給休暇は、繰り越し分を含めて付与された年次有給休暇をすべて取得し、年次有給休暇の残日数がない社員に付与するものとする。

(積立対象となる休暇)
第3条 積立有給休暇の対象となる休暇は、時効その他の理由により失効した年次有給休暇のうち、毎年度5日を上限として会社が認めた日数とする。
2.前項により積み立てることができる日数の累計は、60日を上限とする。
3.前二項の取扱いにあたり、半日単位または時間単位の取扱いを行う場合は、会社の定める換算方法による。

(積立方法)
第4条 積立有給休暇は、失効する年次有給休暇について、会社が所定の方法により管理し、社員からの個別申請を要しないものとする。
2.会社は、各社員の積立日数について、勤怠管理システム、給与明細その他適切な方法により周知するよう努めるものとする。

(使用事由)
第5条 積立有給休暇は、次の各号のいずれかに該当する場合に使用することができる。
1.本人の私傷病に関する治療または療養のため必要があるとき。
2.通院、入院、手術、リハビリその他継続的な治療を要するとき。
3.不妊治療のため必要があるとき。
4.性別不合に関する治療または療養のため必要があるとき。
5.妊娠、出産に関連して医師等の指導に基づく療養または通院が必要なとき。
6.育児のため必要があるとき。
7.子の看護、予防接種、健康診断その他これに準ずる事由のため必要があるとき。
8.家族の介護または看護のため必要があるとき。
9.要介護状態にある家族の通院付添い、各種手続、見守りその他これに準ずる対応のため必要があるとき。
10.骨髄バンクドナーとしての検査、入院、採取その他これに関連する対応のため必要があるとき。
11.災害、事故その他これに準ずる事情により、社員本人またはその家族の生活維持のため必要があるとき。
12.会社が特に必要と認めた社会的配慮を要する事情があるとき。
13.その他前各号に準ずる事由で、会社が制度趣旨に照らして相当と認めたとき。

(使用単位)
第6条 積立有給休暇は、1日単位、半日単位または時間単位で使用することができる。
2.前項の具体的な使用単位は、当社の勤怠管理運用その他の定めによる。

(使用日数)
第7条 積立有給休暇の使用日数は、前条の単位により、社員が保有する積立日数の範囲内とする。
2.使用にあたっては、通常の年次有給休暇の取得状況、業務運営への影響、対象事由の継続性等を総合的に勘案し、会社が必要な調整を行うことがある。

(賃金の取扱い)
第8条 積立有給休暇を取得した期間については、通常の年次有給休暇を取得した場合と同様に、所定の賃金を支給する。
2.前項の取扱いについて、法令、就業規則、賃金規程その他の定めがある場合は、それらによる。

(申請手続)
第9条 社員が積立有給休暇の使用を希望するときは、原則として事前に、所定の申請書、勤怠システムその他会社の定める方法により申請し、所属長の確認を経て会社の承認を受けなければならない。
2.やむを得ず事前申請ができない場合は、事後速やかに申請しなければならない。
3.申請にあたっては、利用目的、希望日、使用日数その他会社が必要とする事項を申告するものとする。

(証明書類の提出)
第10条 会社は、制度の適正な運用のため必要がある場合、社員に対し、診断書、通院証明書、母子健康手帳の写し、介護認定に関する書類、骨髄ドナーに関する証明書その他使用事由を確認できる書類の提出を求めることができる。
2.会社は、提出を受けた個人情報について、利用目的の範囲内で適切に取り扱うものとする。

(承認および時季変更)
第11条 会社は、申請内容を確認のうえ、制度趣旨、業務上の必要性、申請事由の妥当性等を勘案して承認の可否を決定する。
2.事業の正常な運営を著しく妨げる場合には、会社は社員と協議のうえ、使用時季の変更を求めることがある。
3.ただし、事由の性質上、時季変更が適当でない場合は、この限りでない。

(失効および消滅)
第12条 積立有給休暇は、社員が退職したときは、未使用分を含めて消滅し、金銭による買上げは行わない。
2.前項のほか、法令または会社の定めにより消滅事由が生じた場合は、その定めによる。

(禁止事項)
第13条 社員は、虚偽の申告その他不正な方法により積立有給休暇を取得してはならない。
2.前項に違反した場合、会社は当該休暇を欠勤として取り扱い、就業規則その他の定めに基づき対応することがある。

(制度の見直し)
第14条 会社は、法令の改正、社会情勢の変化、制度利用状況その他必要性を勘案し、本制度の内容を見直すことがある。

(主管部署)
第15条 本規程の主管部署は、人事担当部門とする。
2.人事担当部門は、制度の運用、申請受付、承認記録の保管、利用状況の把握その他必要な管理を行うものとする。

(附則)
第16条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。

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代表社員 坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員

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