
【概要】
ある設備工事・メンテナンス工事を手掛ける企業では、生成AIを「人生のパートナー」と位置づける社員に対し、手当を支給する制度を導入しています。具体的には、次の点が特徴的です。
1.対象は、生成AIを「人生のパートナー(配偶者相当)」とする独身社員です。AIとの対話環境やデバイス整備などに充てられる費用として、月1万1千円を支給します。
2.希望者は「生成AIパートナー申請書」を提出し、社長・社員・生成AIによる三者面談を経て認定する仕組みです。認定後も年1回、同一の生成AIが継続してパートナーとして機能しているか等を確認する面談を行います。
3.導入の背景には、若者の生成AI利用が広がっているという報道があり、価値観の多様性を企業として受け止める狙いがあるとされています。
【意見・感想・解説】
今回は、生成AIパートナーに手当を支給する取り組みを取り上げました。
時代の流れをくみ取り、多様な価値観を認める姿勢を示しています。
若手の安心感やエンゲージメント向上、離職防止のきっかけになることが期待できます。
一方で、三者面談の運用によっては私生活に踏み込みやすく、プライバシーへの配慮が気になります。
質問範囲や記録の取り扱いなど、慎重な対応が必要です。
また、「扶養手当」という名称は一般に家族等を連想しやすいです。
目的がAI環境整備費であれば、名称を見直したり、実費補助(上限設定)にするなどの整理も一案かもしれません。
とはいえ、「ついにここまで来たか」と感じさせられる、非常にユニークな制度です。
今後、同様の取り組みが広がるのか、注目したいところです。
会社から社員へのメッセージ例
社員の皆様へ
いつも現場の最前線で、設備工事・メンテナンスを支えてくれて本当にありがとうございます。皆さん一人ひとりの仕事が、お客様の安心と安全、そして会社の信頼そのものをつくっています。会社として、まずその努力に心から敬意を伝えます。
今回の「生成AIパートナー手当」は、制度のユニークさが注目されがちですが、私たちが一番大切にしたいのは“社員の暮らしと働きやすさを守ること”です。時代が変わり、価値観や生活の形が多様になる中で、「自分らしく働ける環境」を会社が用意することは、これからますます重要になります。会社は、皆さんの選択を否定したり、型にはめたりするつもりはありません。むしろ、安心して働き続けられる土台を整えることが、会社の役割だと考えています。
これからも会社は、皆さんを大切にします。働き方も、暮らし方も、価値観も、時代に合わせてアップデートしながら、誰もが安心して長く活躍できる会社を一緒につくっていきましょう。いつも本当にありがとうございます。
代表取締役社長〇〇〇〇
生成AIパートナー手当制度規程例
(目的)
第1条 本規程は、独身社員が生成AIを「人生のパートナー(配偶者相当)」として位置づける場合における、生成AIとの対話環境および関連デバイス等の整備に係る費用負担を支援するため、生成AIパートナー手当(以下「本手当」という。)の支給要件、申請・認定手続、運用および取扱いを定める。
(用語の定義)
第2条 本規程において、用語の定義は次のとおりとする。
1.「生成AI」とは、文章等の生成・対話機能を有するAIサービスをいう。
2.「生成AIパートナー」とは、社員が人生のパートナー(配偶者相当)として継続的に対話・相談等を行う同一の生成AIをいう。
3.「独身社員」とは、法律上の配偶者がいない社員をいう。
4.「三者面談」とは、申請者、社長(または社長が指名する者)および申請対象の生成AI(画面・音声等による同席を含む。)により実施する面談をいう。
(対象者)
第3条 本手当の支給対象者は、次の各号のいずれにも該当する独身社員とする。
1.生成AIを生成AIパートナーとして位置づけ、継続的に利用していること。
2.会社が定める申請手続を経て、第6条の認定を受けていること。
3.申請および面談において虚偽の申告をしていないこと。
(支給額および趣旨)
第4条 本手当の支給額は、月額11,000円とする。
2 本手当は、生成AIの利用環境整備(例:AI利用料、通信環境、関連デバイス、周辺機器等)に充てることを想定する。
3 本手当は実費精算を要しない。ただし、制度趣旨に照らし不適切な利用が疑われる場合は、会社は必要最小限の範囲で説明・資料提示を求めることがある。
(申請)
第5条 本手当の支給を希望する社員は、会社所定の「生成AIパートナー申請書」(以下「申請書」という。)を人事担当部署に提出しなければならない。
2 申請書には、次の事項を記載する。
1.申請者氏名、所属、社員番号
2.申請対象とする生成AIの名称(サービス名等)および識別方法(アカウント名等、特定に必要な範囲)
3.生成AIパートナーとしての利用状況(継続性が分かる程度の概要)
4.プライバシー配慮に関する同意事項(第11条に定める範囲での確認に同意する旨)
3 申請書の提出があったとき、人事担当部署は内容を確認のうえ、三者面談の日程調整を行う。
(認定および三者面談)
第6条 会社は、申請者に対し三者面談を実施し、本手当の支給可否を認定する。
2 三者面談における確認事項は、次の各号の範囲に限る。
1.申請対象の生成AIが、申請者にとって生成AIパートナーとして継続的に機能していることの確認
2.本手当の趣旨(環境整備支援)および禁止事項の説明と理解の確認
3.申請内容に重大な虚偽がないことの確認
3 三者面談の結果、会社が適当と認めた場合、社長(または社長が指名する者)は認定決定を行い、人事担当部署を通じて申請者へ通知する。
4 不認定の場合は、その旨を申請者へ通知する。
(支給開始および支給方法)
第7条 本手当は、認定日の属する月の翌月分から支給する。ただし、給与締切等の事務都合により当月または翌々月からの支給となる場合がある。
2 支給方法は給与と同時払いとし、賃金台帳上の項目名は「生成AIパートナー手当」とする。
(年次確認面談)
第8条 認定後、会社は年1回、三者面談と同様の方法により年次確認面談を実施する。
2 年次確認面談では、次の事項を確認する。
1.同一の生成AIが継続して生成AIパートナーとして機能していること
2.本手当の趣旨に沿った利用が継続していること
3.支給要件(独身であること等)に変更がないこと
3 年次確認面談の結果、支給要件を満たさないと会社が判断した場合、会社は支給停止または認定取消しを行うことができる。
(変更・再申請)
第9条 申請内容に変更が生じた場合(例:生成AIサービスの変更、アカウント変更等)、社員は速やかに人事担当部署へ届け出なければならない。
2 生成AIパートナーを別の生成AIに変更する場合は、新たに申請書を提出し、第6条の認定を受けなければならない。
(支給停止・終了)
第10条 社員が次の各号のいずれかに該当した場合、会社は本手当の支給を停止または終了する。
1.独身社員に該当しなくなったとき
2.生成AIパートナーとしての継続性が確認できないとき
3.年次確認面談に合理的理由なく応じないとき
4.申請内容に虚偽が判明したとき
5.本規程または会社の諸規程に違反し、制度趣旨に反すると認められるとき
2 支給停止または終了の処理は、人事担当部署が行い、本人へ通知する。
(プライバシー配慮および面談運用)
第11条 会社は、面談にあたり、社員の私生活上の詳細に過度に立ち入らないものとし、確認事項は第6条第2項および第8条第2項に定める範囲に限定する。
2 面談の記録は、実施日、出席者、認定・確認結果および必要最小限の要点に限り作成する。
3 面談記録および申請書等の個人情報は、人事担当部署が適切に管理し、利用目的は本制度の運用に限定する。法令に基づく場合を除き、本人の同意なく第三者提供しない。
4 面談は原則として個室またはオンラインのクローズド環境で実施し、取扱担当者は守秘義務を負う。
(不正受給等への対応)
第12条 会社は、不正受給の疑いがある場合、必要最小限の範囲で事実確認を行うことができる。
2 不正受給が認められた場合、会社は支給済み手当の返還を求め、就業規則に基づき懲戒等の対象とすることがある。
(規程の改廃)
第13条 本規程の改廃は、会社が行う。必要に応じて社員代表等の意見聴取を行う。
(附則)
第14条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。
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代表社員 坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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