
【概要】
現在、リスキリングの「実務上の留意点」をテーマに伝えしています。
これまで2回にわたり、「時間外労働の削減」と「学び直しのための休暇制度」について解説しました。
今回は、学び直しを促す風土の醸成について、解説します。
[1] 経営者の方針
社内の意識を変えていくためには、学び直しの重要性について、経営者が熱いメッセージを発信することが必要不可欠です。
例えば、デジタル技術の分野であれは、次のようなメッセージが例として挙げられます。
「会社を取り巻く環境は大きく変化しており、AIやIoTなどといったデジタル技術が急速に発展しています。
こうした中、会社が持続的に成長発展するためには、社員が最新のデジタル技術を習得し、その強みを活かし、新しい価値を創出できるようになる必要があります。
そこで会社は、社員一人ひとりによるデジタル技術の主体的な学習を重視し、自主的な学びを支援するための体制を構築します。
会社と社員相互の成長発展のために、積極的に学び直しに取り組んでください。」
[2] 人事評価
社員の学ぶ姿勢と行動を適正に評価し、処遇へ反映することが重要となります。
この点は、経団連の資料「Society 5.0時代を切り拓く人材の育成」でも述べられており、経団連調査では、「(企業側に)学ぶ姿勢と育成の双方を同様に評価し、処遇に反映する仕組みがある」(56.3%)との回答結果もあります。
社員が積極的に学ぶ姿勢が適切に評価されれば、学び直しに関する意識が高まることが期待できます。
[3] ハラスメントの予防
社員が学び直しを行うために、必要に応じて他の社員より早く退社したり、年次有給休暇の取得などにより、会社を休むこともあると思います。
このような場合、例えば上司から、「学校に行くために、早く帰ったり、年休を取得するなんて不謹慎だ。残って仕事をしろ。休暇も認めん!」と怒鳴られ続けたとします。そのような場合、ハラスメントに該当するリスクがあります。
ハラスメントの典型例としては、1.身体的な攻撃、2.精神的な攻撃、3.人間関係からの切り離し、4.過大な要求、5.過小な要求、6.個の侵害があります。
今回の例は、「2.精神的な攻撃」に該当する可能性があります。
職場内でこのようなことが頻繁に行われていると、学び直しを行おうとする前向きな社員は、嫌気がさして退職してしまうかもしれません。
優秀な社員の社外流出を防ぐためにも、社内にリスキリングの重要性を啓蒙するとともに、ハラスメントのような不適切な言動を防止するよう、注意喚起しておく必要があります。
次回は、学びなおしに関する規定例として、失効年休に関する積立休暇制度について、解説します。
楽しみにしていてください。
【意見・感想・解説】
リスキリングを定着させるためには、制度を設けるだけでなく、「学ぶことを会社が応援する」という風土づくりが重要です。
経営者による方針の発信、人事評価への反映、ハラスメントの防止を一体的に進めることで、社員が安心して学び直しに取り組める環境につながります。
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リスキリングを推進する際には、休暇制度や人事評価制度の整備だけでなく、現場での運用やハラスメントの予防にも配慮する必要があります。
当法人の顧問契約では、人事労務上のトラブルを未然に予防するとともに、問題が発生した場合にも適切かつ迅速に対応できる体制づくりを支援します。また、社員が安心して働き、成長できる職場環境を整えることは、優秀な人材の確保及び定着にもつながります。
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代表社員 坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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