
概要
現在、リスキリングの「実務上の留意点」をテーマにお伝えしています。
前回は、時間外労働の削減について解説しました。今回は、社員の学び直しを支援するための「休暇制度」について解説します。
社員の学び直しを進める上では、社員に休暇を付与し、その休暇を利用して学び直しに取り組んでもらうことが有効です。
休暇には、年次有給休暇などの「法定の休暇」と、会社が独自に設ける「法定外の特別休暇」があります。
【1】年次有給休暇の取得促進
年次有給休暇については、労働基準法により、一定の要件を満たす労働者に対して、年5日の年次有給休暇を取得させることが使用者に義務付けられています。
この義務を遵守することは当然ですが、年次有給休暇は、勤続年数などの要件に応じて最大で年20日が付与されます。
こうしたことから、学び直しの実効性を高める上では、社員が年次有給休暇を取得しやすい職場環境を整え、積極的な取得を促していくことが有効です。
【2】法定外の特別休暇
年次有給休暇に加えて、法定外の特別休暇を活用することで、社員の学び直しの機会を増やすことも考えられます。
法定外の特別休暇は、年次有給休暇とは異なり、会社が基本的に独自に制度設計できます。そのため、「学び直しを目的とした休暇制度」として設けることも可能です。
ここで、厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト 特別な休暇制度導入事例」で紹介されている事例を取り上げます。
<ネクストステージチャレンジ休暇 ~情報通信業>
ネクストステージチャレンジ休暇は、中長期勤務者への慰労と、会社でのさらなる飛躍への期待を込め、自己啓発やリフレッシュに活用してもらうことを目的とした制度です。
▼ 制度の概要
- 勤続3年で3日間、5年で5日間、10年で10日間の連続休暇を有給で付与します。
- 休暇取得対象者となった日から1年以内に取得する必要があります。
- 休暇とともに、勤続3年で3万円、5年で10万円、10年で30万円の手当も支給しています。
- 休暇取得対象者になると、本人だけでなく上司にも通知し、本社朝礼で表彰します。
▼ 取得者の声
勤続10年で対象となった社員は、10日間の休暇と30万円の手当を活用し、ゴールデンウィークや年次有給休暇も組み合わせて、1か月間フィリピンへ英語留学しました。
集中的に英語を学習した結果、TOEICの点数が180点アップし、仕事で英語を使用する場面でもストレスを感じにくくなるなど、実務面でも成果につながったとされています。
今後、DXの急速な進展などに伴い、社員に求められる知識やスキルも変化していくことが予想されます。こうした学び直しへのニーズに応えるため、特別休暇制度の導入を検討してもよいでしょう。
次回も引き続き、「実務上の留意点」について解説します。
意見・感想・解説
リスキリングを進めるためには、学ぶ機会だけでなく、社員が学習に充てられる時間を確保することも重要です。
年次有給休暇の取得促進や、学び直しを目的とした特別休暇を設けることで、社員が新たな知識やスキルを身につけやすい環境を整えることができます。
また、こうした支援制度は社員の成長を後押しするだけでなく、働きがいや人材の定着にもつながることが期待されます。
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坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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