
概要
前回までは、「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」について説明いたしました。
当然のことですが、自社の社員が学び直しを進める上では、学び直しをするための時間を確保する必要があります。
したがって、企業としては、社員の労働時間管理を適切に行い、なるべく所定労働時間内で業務を完遂できるように配慮し、残業や休日労働を減少させることが必要不可欠になります。
併せて、年次有給休暇の取得を促進するとともに、学び直しのための特別休暇を付与することで、学び直しをする機会を増やしていくことが有効です。
また、学び直しの気運を高めるための社風を醸成し、学び直しをした社員が適切に評価される仕組みづくりも重要です。
今回から、「実務上の留意点」についてお伝えします。
まず、時間外労働の削減について解説します。
[1] 時間外労働削減の効果
今回は学び直しがテーマですが、時間外労働を削減することにより、過重労働の抑制やワークライフバランスの推進にもつながります。
[2] 時間外労働削減の進め方
時間外労働を削減するためには、具体的には、次の内容を進めることが有効です。
●トップの方針決定
トップが、残業削減を経営方針に掲げ、社員に周知徹底します。
まだまだ「会社に遅くまで残って残業することが美徳」と感じている社員もいると思いますが、トップが会社の方針として、遅くまで残っていることを明確に否定し、所定労働時間内に業務を完遂する社員を評価する旨を伝えます。
また、方針には、「早く帰社し、家族との団らんや学び直しなどの時間にあててください。」とし、学び直しについても触れると良いでしょう。
●現場での意識づけと工夫
トップによる残業削減の方針に基づき、実際に残業削減に取り組むのは、各職場になります。
残業の発生を防止するには、所定労働時間内での業務効率化を図るとともに、業務を完遂できるような工夫が求められます。
そのためには、所定労働時間中のムダな時間を削減することになりますが、まずは、「労働時間」と「コスト」の関係を社員に意識づけさせるとよいでしょう。
例えば、次の例を考えてみます。
<探し物に関するコスト>
仮に、1ヵ月の出勤日を22日、社員 1 人当たりの時給が平均2,000円、30人の社員がいるとします。
「1日に仕事で書類や文具などを探す時間はどれくらいですか?」の質問に対する、回答者の平均値が1日30分であったとします。
この場合、次のコストが算出できます。
・30分×22日=660分=11時間 ……毎月の探し物に費やす時間
・11時間×12ヵ月=132時間 …… 1 年間の探し物に費やす時間
⇒ 探し物にかける会社全体の年間コスト:132時間×2,000円×30人=792万円
この792万円は、いわば”不要なコスト”です。
したがって、日々、自分のパソコンや共有サーバー、クラウド内のファイル、会社の机やキャビネットなどの整理整頓を心掛ける必要があります。
探し物に関する時間を削減することで、不要なコストの発生を抑制するとともに、労働時間の短縮化にもつながります。
次回も引き続き、「実務上の留意点」について、解説します。
楽しみにしていてください。
意見・感想・解説
時間外労働の削減は、社員の健康確保だけでなく、学び直しの時間を確保するためにも重要です。
そのためには、経営トップが残業削減の方針を明確に示すとともに、日々の業務に潜むムダを見直し、所定労働時間内で業務を完遂できる職場づくりを進めることが大切です。
業務効率化によって生まれた時間を社員の学び直しにつなげることで、人材育成と企業の生産性向上の双方が期待できます。
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時間外労働の削減や業務効率化を進めるためには、労働時間管理だけでなく、就業規則や人事評価、職場の運用などを総合的に整備することが重要です。
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顧問契約の内容
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代表社員 坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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