
【概要】
あるコンサルティング会社では、「カリキュラムボーナス制度」を行っています。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.開発本部メンバーは8か月かけてエンジニアになるためのカリキュラムを実施することとしています。
2.そのカリキュラムをスケジュール通りに進め、8か月以内に終わらせた社員に「カリキュラム卒業おめでとう」としてボーナスを出すこととしています。
【意見・感想・解説】
今回は、カリキュラムボーナス制度を取り上げました。
エンジニア育成を重視した制度ですね。
8か月修行して、卒業記念としてボーナスがでるとなると、うれしいものです。頑張ってカリキュラムに沿った研修を受けようという気持ちになると思います。
一方で、研修後、ボーナスをもらってすぐに退職されたのでは、会社ではたまったものではありません。したがって、研修後のフォローも大切です。
同時に、社員の帰属意識を醸成させるため、風通しの良い社風にすることが必要です。したがって、社内のコミュニケーションの円滑化を図ることも大切になります。
今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。
会社から社員へのメッセージ例
社員の皆様へ
いつも日々の業務に真摯に取り組んでいただき、心より感謝しています。
当社は、社員一人ひとりの成長こそが、会社の成長を支える最も大切な力であると考えています。だからこそ、皆様が安心して学び、挑戦し、自分の可能性を広げていける環境を整えることは、会社として非常に重要な責任だと思っています。
今回のカリキュラムボーナス制度は、単に研修を終えたことに対して報いるためだけのものではありません。8か月にわたる学びと努力を積み重ね、期限内にやり遂げた皆様の姿勢そのものに、会社として敬意を表したいという思いが込められています。
新しい知識や技術を身につける過程では、楽なことばかりではなかったはずです。それでも前向きに取り組み、着実に成長していく皆様の努力は、会社にとってかけがえのない財産です。当社は、その頑張りをきちんと見つめ、評価し、応援していきたいと考えています。
そして、私たちが本当に大切にしたいのは、研修を修了したその先です。学んだことを実務の中で生かし、仲間と支え合いながら成長を続け、長く安心して働ける会社であること。それが、会社の目指す姿です。社員の皆様に「この会社で成長できてよかった」「これからもここで力を発揮したい」と思っていただけるよう、職場環境の整備、コミュニケーションの充実、適切な評価と支援にこれからも力を入れてまいります。
会社は、皆様を大切な仲間として考えています。皆様の努力や成長、そして日々の積み重ねを決して当たり前とは思っていません。一人ひとりが安心して働き、将来に希望を持ちながらキャリアを築いていけるよう、これからも全力で支えていきます。
今後も、ともに学び、ともに成長し、ともにより良い会社をつくっていきましょう。皆様の挑戦を、会社はこれからも心から応援しています。
代表取締役社長〇〇〇〇
カリキュラムボーナス制度規程例
(目的)
第1条 本規程は、社員の技能習得を促進し、学習意欲および業務意欲の向上を図るため、所定のカリキュラムを期限内に修了した社員に対し、カリキュラムボーナスを支給する制度について定めるものである。
(適用対象)
第2条 本規程は、開発本部に所属し、会社が指定するエンジニア育成カリキュラムを受講する社員に適用する。
2.会社は、必要に応じて前項以外の社員についても対象とすることがある。
(カリキュラムの内容)
第3条 対象社員は、会社が別途定めるエンジニア育成のためのカリキュラムを受講しなければならない。
2.カリキュラムの内容、実施方法、進捗管理の方法その他必要な事項は、会社が別に定める。
(受講期間)
第4条 対象社員は、受講開始日から起算して8か月以内にカリキュラムを修了しなければならない。
2.会社がやむを得ない事情があると認めたときは、受講期間を延長することがある。
(支給要件)
第5条 会社は、対象社員が次の各号の要件をすべて満たした場合に、カリキュラムボーナスを支給する。
1.会社が指定するカリキュラムを修了していること。
2.受講開始日から8か月以内に修了していること。
3.修了判定時において、勤務成績、勤務態度その他の事情に照らし、支給が相当であると会社が認めたこと。
(ボーナスの額)
第6条 カリキュラムボーナスの支給額は、会社が別に定める額とする。
2.会社は、カリキュラムの難易度、修了状況、業績その他の事情を考慮し、支給額を決定することがある。
(支給時期)
第7条 カリキュラムボーナスは、カリキュラム修了後、会社が適当と認める時期に支給する。
2.前項の支給日は、給与支給日その他会社が指定する日とする。
(不支給または返還)
第8条 対象社員が次の各号のいずれかに該当する場合、会社はカリキュラムボーナスを支給しないことがある。
1.不正な手段により修了判定を受けたとき。
2.正当な理由なく受講態度が不良であると会社が判断したとき。
3.その他本制度の趣旨に反すると会社が認めたとき。
2.前項第1号その他重大な不正が認められた場合には、会社は既に支給したカリキュラムボーナスの返還を求めることができる。
(研修修了後の勤務および育成)
第9条 会社は、カリキュラム修了後も、対象社員が習得した技能を業務に活用し、継続的に成長できるよう必要な指導、配置その他の支援を行うものとする。
2.対象社員は、研修修了後も会社の一員として、誠実に業務に従事し、習得した知識および技能の活用に努めるものとする。
(社内手続き)
第10条 カリキュラムボーナスの支給を受けようとする社員は、カリキュラム修了後、会社所定の申請書その他必要書類を所属長を通じて提出しなければならない。
2.所属長は、修了状況、進捗状況、受講態度その他必要事項を確認のうえ、会社に申請するものとする。
3.会社は、提出書類および修了判定結果を審査し、支給の可否を決定する。
4.前各項に定める手続きの詳細は、会社が別に定める。
(規程の改廃)
第11条 本規程の制定、改正または廃止は、会社が行う。
(附則)
第12条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。
顧問契約サービスのご案内
カリキュラムボーナス制度のように、社員の成長を後押しする仕組みは、学習意欲や業務意欲を高め、組織全体の活性化につながります。一方で、制度を円滑に運用し、期待する成果につなげるためには、制度設計だけでなく、運用面やその後のフォローまで見据えた対応が欠かせません。
たとえば、支給要件や評価基準が曖昧であると、かえって不満や誤解を招き、労務トラブルにつながるおそれがあります。また、研修修了後の配置、育成、処遇との連動が不十分であれば、せっかく育成した人材の離職を招く可能性もあります。こうした点を踏まえ、日頃から制度の見直しや就業規則等の整備を行い、トラブルの予防及び事後に適切かつ迅速な対応ができる体制を整えておくことが重要です。
さらに、社員が「成長をきちんと見てもらえている」「安心して長く働ける」と感じられる職場づくりは、優秀な人材の確保及び定着にも直結します。人材育成制度、評価制度、職場環境整備を一体として進めていくことが、これからの企業経営においてますます重要になっています。
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代表社員 坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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