
【概要】
ある食品・日用品のトラック輸送会社では、メンターに手当を支給しています。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.メンター制度を導入し、メンターに毎月5,000円を支給しています。そして、担当した新人が1年間勤続した場合は、1万円を支給しています。
2.以前は、入社1年後の社員の定着率は、4~5割で推移していました。ところが、メンター制度導入後に入社し、メンターが付いた10人については、1人も辞めていません。
3.新人が入社したタイミングで、メンターとのツーショット写真が社内SNSで公開されます。こうしたこともあり、先輩社員はメンターに、新人の様子を尋ねるなどして、交流のきっかけも作ることもできます。
【意見・感想・解説】
今回は、メンター制度を取り上げました。
メンター制度は、さまざまな企業で実施されていますが、やはり社員の定着率向上に寄与しますね。新入社員も入社後、孤立化することなく、メンターを通じて様々な相談をしやすくなります。
何かあったときにメンターが保護すれば、ハラスメント被害の未然防止にもつながりますね。そして、メンターという重要な役割をする社員には、金銭的面で労をねぎらうこともうなずけます。
会社としても、入社してすぐに離職されて採用コストが増加するより、メンターに手当を支給する方が採算性が良いと思います。とても参考になる事例です。
今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。
会社から社員へのメッセージ例
社員の皆様へ
いつも日々の業務に真摯に取り組み、会社を支えていただいている皆様に、心より感謝申し上げます。
当社は、会社の成長を支えている最も大切な存在は、ほかでもない社員の皆様一人ひとりであると考えています。毎日の仕事に責任を持ち、仲間と協力しながら努力を重ねてくださる皆様の存在があってこそ、会社は成り立ち、前に進むことができます。
特に、新しく入社された社員の皆様にとって、職場に慣れるまでの期間は、不安や戸惑いも多いものです。仕事の進め方だけでなく、人間関係や職場環境に馴染めるかどうかは、その後の成長や働き続ける安心感に大きく関わります。だからこそ当社は、新入社員が孤立することなく、安心して相談できる環境を整えることが大切であると考えています。
そのための取り組みの一つが、メンター制度です。先輩社員が新入社員に寄り添い、日々の声かけや相談対応を行うことは、単なる業務指導にとどまらず、「この会社には自分を気にかけてくれる人がいる」という安心感につながります。こうした信頼関係は、新入社員の成長を支えるだけでなく、職場全体の温かさや一体感を育ててくれるものです。
また、メンターを担ってくださる社員の皆様の存在も、会社にとって大変貴重です。後輩を支え、見守り、励ましながら育てていく姿勢は、当社が大切にしたい文化そのものです。会社として、その大切な役割に感謝と敬意を表するとともに、必要な支援や配慮を今後も行ってまいります。
社員の皆様が安心して長く働けること、それぞれが自分の力を発揮しながら成長できること、そして「この会社で働き続けてよかった」と思えることが、当社にとって何より重要です。会社は、目先の成果だけではなく、社員の皆様の毎日の努力、悩み、成長、そして人生そのものを大切にしたいと考えています。
これからも当社は、社員を大切にする会社であり続けます。困ったときに支え合い、喜びを分かち合い、お互いを尊重しながら、誰もが安心して働き続けられる職場を、皆様とともにつくってまいります。
社員の皆様には、今後も安心して力を発揮していただきたいと願っています。そして会社は、そのための環境づくりに真剣に取り組み続けることをお約束します。
代表取締役社長〇〇〇〇
メンター制度規程例
(目的)
第1条 本規程は、新入社員の職場定着および円滑な職務遂行を支援するために実施するメンター制度について必要な事項を定め、もって人材育成および職場環境の向上を図ることを目的とする。
(適用範囲)
第2条 本規程は、当社に勤務する社員のうち、新入社員および会社がメンターとして指名した社員に適用する。
(制度の定義)
第3条 本規程においてメンター制度とは、新入社員に対し、会社が指定する先輩社員が一定期間継続して助言、支援および相談対応を行う制度をいう。
(メンターの役割)
第4条 メンターは、次の役割を担うものとする。
1.新入社員に対する日常的な声かけおよび相談対応を行うこと。
2.業務遂行に必要な基本的事項について助言すること。
3.職場への適応状況、心身の状態その他必要な事項を把握するよう努めること。
4.新入社員に問題や不安が認められる場合には、必要に応じて所属長その他関係者へ報告または連携すること。
5.ハラスメントその他職場上の問題の未然防止に配慮すること。
(新入社員の責務)
第5条 新入社員は、メンター制度の趣旨を理解し、メンターとの面談その他の支援の機会を有効に活用するよう努めるものとする。
(メンターの選任)
第6条 会社は、新入社員の入社時に、業務内容、勤務場所、経験、適性その他の事情を総合的に勘案し、メンターを選任する。
2 メンターの選任は、原則として人事担当部門または所属長の推薦に基づき、会社が決定する。
3 会社は、必要があると認めるときは、メンターを変更することができる。
(メンター支援期間)
第7条 メンターによる支援期間は、原則として新入社員の入社日から1年間とする。
2 会社は、必要があると認めるときは、前項の期間を変更することができる。
(メンター手当)
第8条 会社は、メンターとして指名され、実際に支援業務を行った社員に対し、月額5,000円のメンター手当を支給する。
2 前項の手当は、会社が定める賃金支払日に支給する。
3 月の途中でメンターに選任された場合または解任された場合の取扱いは、会社が別に定める。
(定着支援報奨金)
第9条 会社は、メンターが担当した新入社員が入社後1年間継続勤務した場合、当該メンターに対し、報奨金として10,000円を支給する。
2 前項の継続勤務の判定時期および支給日は、会社が別に定める。
3 新入社員の休職その他特別の事情がある場合の取扱いは、会社が個別に判断する。
(社内周知および情報共有)
第10条 会社は、新入社員の入社時に、メンターと新入社員の氏名その他会社が必要と認める事項を社内に周知することができる。
2 会社は、職場内の交流促進および支援体制の充実を図るため、メンターと新入社員のツーショット写真を社内SNSその他社内媒体に掲載することができる。
3 前項の掲載にあたっては、本人のプライバシーに配慮し、適切に運用するものとする。
(社内手続き)
第11条 所属長または人事担当部門は、新入社員の入社時にメンター選任に関する手続きを行うものとする。
2 メンターに選任された社員は、会社所定の方法により就任の確認を行うものとする。
3 メンター手当および定着支援報奨金の支給を受ける場合には、会社所定の申請書、報告書その他必要書類を提出しなければならない。
4 所属長、人事担当部門および経理担当部門は、支給要件の確認および支給手続きを適正に行うものとする。
5 会社は、必要があると認めるときは、メンターに対し活動状況の報告を求めることができる。
(遵守事項)
第12条 メンターは、新入社員から知り得た個人情報その他の秘密を正当な理由なく第三者に漏らしてはならない。
2 メンターは、その立場を利用して新入社員に不利益を与え、または不適切な言動を行ってはならない。
3 新入社員および関係社員は、相互の人格を尊重し、良好な信頼関係の維持に努めるものとする。
(所管)
第13条 本規程の所管は、人事担当部門とする。
2 本規程の運用に関し必要な事項は、会社が別に定める。
(附則)
第14条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。
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代表社員 坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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