
カスハラと使用者責任について
今回は、カスタマーハラスメント(カスハラ)と「使用者責任」との関係について解説します。
民法における規定
民法では、以下のように定められています。
使用者としての責任(第715条)
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
つまり、社員が業務の一環として第三者に損害を与えた場合、その行為が不法行為に該当すれば、会社(使用者)が責任を問われることになります。
例えば、自社社員が取引先の担当者に対してパワハラを行った場合には、使用者責任が発生する可能性があるのです。
使用者責任に関する事例
実際に起きたトラブル事例をご紹介します。
ある会社(X社)が、取引先の社長から罵声や不当な要求といったカスハラを受け、取引先2社に対して合計1100万円の損害賠償を求めて訴訟を起こしました。
被告は、札幌市にある資材販売会社Y社と、その関連会社Z社です。
X社の北海道エリア責任者がY社の創立50周年を祝うため訪問したところ、Y社社長(同時にZ社社長も兼務)は、同行したX社社員に対して
「お前からアポイントはもらっていない」
「お前はそんなに偉いのか、何様だ!」
などと、約2時間にわたって怒鳴り続けました。
その結果、この社員は精神的に追い詰められ、翌日から休職。医師からは抑うつ状態と診断されています。
また、この社長は以前からX社社員に対し、契約外の業務(空港への出迎えやシミュレーションゴルフの保守など)を強要しており、業務に支障が生じていました。
まとめ
このように、たとえ相手が顧客であっても、自社社員が理不尽な要求や過度な圧力にさらされ続ける状況では、会社として毅然とした対応を取ることが重要です。
次回予告
次回は「カスハラ防止のための原理原則」について解説します。ぜひご期待ください。








