親孝行支援制度で、介護が必要な親への帰省費用を年4回まで補助する住宅販売会社のイメージ
転勤で親と離れて暮らす社員に、介護や見守りの帰省費用を年4回まで補助する親孝行支援制度
遠方に住む要介護の親を持つ社員へ、帰省距離に応じて1回1.5万円から5.5万円を年4回まで支給します。

概要

ある住宅販売会社では、「親孝行支援制度」を導入しています。

転勤などにより、介護が必要な親と離れて暮らしている社員の中には、親の介護や見守りのために何度も帰省する必要があり、交通費の負担が大きくなっているケースがありました。

そこで、遠方に介護が必要な親をもつ社員に対し、年4回を上限として帰省費用を補助しています。補助額は帰省距離に応じて設定され、1回につき1万5,000円から5万5,000円まで支給されます。

意見・感想・解説

今回は、「親孝行支援制度」を取り上げました。社員が抱える介護の負担に目を向けた、とても素晴らしい福利厚生制度です。

介護は、育児と異なり、いつ始まるかを予測しにくい面があります。また、親が遠方に住んでいる場合には、帰省にかかる時間的・金銭的負担が大きくなります。

特に転勤のある会社では、社員本人の希望だけでなく、会社都合の異動によって親元から離れて暮らすこともあります。そのため、今回のように帰省費用を補助する制度は、社員の不安を軽減し、安心して働き続けるための支援策として大きな意義があります。

また、「介護離職の予防」という観点からも評価できます。「会社が介護事情を理解してくれている」というメッセージが社員に伝わり、会社への信頼感や安心感が高まることで、社員の定着にもつながることが期待できます。とても参考になる事例です。

今回の事例を踏まえ、会社(社長)から社員へのメッセージおよび規程例を作成しました。ご参考ください。

会社から社員へのメッセージ例

社員の皆様へ

当社は、社員の皆様一人ひとりが安心して働き続けられる会社でありたいと考えています。仕事に全力で取り組む皆様の背景には、大切なご家族との暮らしがあります。親御様の介護や見守りのために遠方へ帰省することは、時間的にも金銭的にも大きな負担となります。会社として、その負担を社員だけに背負わせるのではなく、少しでも力になりたいという思いから、親孝行支援制度を設けます。

介護は、ある日突然始まることがあり、先の見通しを立てることが難しいものです。仕事との両立について不安を感じたり、周囲に相談できず悩んだりすることもあると思います。当社は、介護を理由に大切な社員が退職を選ばなければならない状況をできる限り防ぎたいと考えています。本制度に加え、介護休業や介護休暇なども活用し、決して一人で抱え込まず、早めに会社へ相談してください。

会社にとって、社員の皆様は最も大切な財産です。長く働き続けていただくためには、仕事だけでなく、社員とご家族の生活にも寄り添うことが必要です。この制度が、親御様と過ごす時間を確保し、皆様の心の負担を少しでも和らげるきっかけとなることを願っています。これからも社員の声に耳を傾け、お互いに支え合いながら、安心して働き続けられる職場づくりを進めてまいります。

代表取締役社長〇〇〇〇

親孝行支援制度規程例

(目的)
第1条 本規程は、遠方に居住する親の介護または見守りを行う社員に対し、帰省に要する交通費の一部を補助することにより、社員の経済的負担を軽減し、仕事と介護の両立および社員の定着を支援することを目的とする。

(対象者)
第2条 本制度の対象者は、会社に雇用されている社員であって、次の各号のすべてに該当する者とする。
1.介護または継続的な見守りを必要とする親が、社員の現住所から遠方に居住していること。
2.親を訪問するため、鉄道、航空機、高速バスその他の公共交通機関等を利用して帰省すること。
3.所定の申請手続きを行い、会社の承認を受けていること。

(対象となる親および帰省)
第3条 本規程における親とは、社員の実父母、養父母、配偶者の実父母または養父母をいう。
2 対象となる帰省は、親の介護、通院の付き添い、生活状況の確認、介護サービスに関する手続きその他会社が必要と認める目的で行うものとする。
3 観光、私的行事への参加その他介護または見守りを主な目的としない帰省は、補助の対象としない。

(補助回数および補助額)
第4条 帰省費用の補助は、毎年4月1日から翌年3月31日までの期間において、社員1人につき4回を上限とする。
2 1回当たりの補助額は、社員の現住所から親の居住地までの片道距離に応じ、次のとおりとする。
1.100キロメートル以上300キロメートル未満 1万5,000円
2.300キロメートル以上500キロメートル未満 2万5,000円
3.500キロメートル以上700キロメートル未満 3万5,000円
4.700キロメートル以上1,000キロメートル未満 4万5,000円
5.1,000キロメートル以上 5万5,000円
3 実際に支払った交通費が前項の補助額を下回る場合は、その実費を補助額とする。
4 距離は、会社が合理的と認める通常の経路により算定する。

(申請手続き)
第5条 本制度の利用を希望する社員は、原則として帰省予定日の7日前までに、会社所定の申請書を所属長または人事担当部署へ提出し、承認を受けなければならない。
2 社員は、初回の申請時に、親との続柄、親の居住地および介護または見守りの必要性を確認できる書類を提出するものとする。
3 緊急その他やむを得ない事情により事前申請が困難な場合は、帰省後速やかに申請することができる。

(実績報告および支給)
第6条 社員は、帰省後14日以内に、交通機関の領収書、利用明細その他会社が必要と認める書類を提出しなければならない。
2 会社は、申請内容および提出書類を確認したうえで、原則として直近の給与支給日に補助金を支給する。

(適正利用および個人情報)
第7条 社員は、虚偽の申請、書類の改ざん、補助金の重複受給その他の不正な方法により、本制度を利用してはならない。
2 不正利用が判明した場合、会社は補助金の全部または一部の返還を求め、就業規則に基づき必要な措置を講ずることがある。
3 会社は、本制度の申請により取得した社員および家族の個人情報を、制度の審査、支給および適正な運用に必要な範囲で取り扱う。
4 本制度は、育児・介護休業法その他の法令または社内規程に基づく介護休業、介護休暇その他の制度の利用を妨げるものではない。

(附則)
第8条 本規程は、令和◯年◯月◯日より施行する。

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代表社員 坂本直紀の紹介

坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員

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