
概要
厚生労働省が示した職場におけるカスタマーハラスメントの定義では、次の3つの要素をすべて満たすものがカスタマーハラスメントに該当するとされています。
(1)顧客等の言動であること
(2)労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らし、社会通念上許容される範囲を超えたものであること
(3)その言動によって労働者の就業環境が害されること
今回は、このうち「手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えるもの」について解説します。
具体的には、次のような言動が挙げられます。
1.身体的な攻撃
殴る、蹴る、叩く、物を投げつける、わざとぶつかる、つばを吐きかけるなどの暴行や傷害に該当する行為です。
2.精神的な攻撃
脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の強要などが該当します。店舗の物を壊すことや、SNSに悪評を投稿することをほのめかして労働者を脅す行為、人格を否定する発言、無断撮影、プライバシー情報の投稿なども含まれます。
3.威圧的な言動
大声を上げて労働者や周囲の人を威圧する行為や、反社会的な言動を行うことなどが該当します。
4.継続的、執拗な言動
同じ質問を繰り返す、話をすり替える、揚げ足を取る、執拗に責め立てる、同様の電子メールを繰り返し送るといった行為です。
5.拘束的な言動
店舗から退去せずに居座る、長時間の電話によって労働者を拘束する、監禁するなどの行為が該当します。
意見・感想・解説
顧客からの苦情や要望であっても、そのすべてがカスタマーハラスメントになるわけではありません。商品やサービスに問題があり、顧客が正当な改善や説明を求める場合には、企業として適切に対応する必要があります。
一方で、要求の内容に一定の理由があったとしても、暴力、脅迫、人格否定、大声による威圧、執拗な連絡、長時間の拘束など、要求を実現するための手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えている場合には、カスタマーハラスメントに該当する可能性があります。
現場の担当者だけでカスタマーハラスメントに該当するかどうかを判断し、対応を続けることには大きな負担が伴います。企業は、対応を打ち切る基準、上司へ報告するタイミング、録音や記録の方法、警察や弁護士へ相談する基準などをあらかじめ定めておくことが重要です。
また、管理職には、顧客対応の適否だけでなく、対応した労働者の心身の状態を確認し、必要に応じて休養や配置上の配慮を行うことも求められます。カスタマーハラスメント対策は、単なる苦情対応ではなく、労働者の安全と就業環境を守るための重要な人事労務管理です。
ハラスメント対策研修のご案内
カスタマーハラスメントに適切に対応するためには、正当な苦情と不当な要求を見極め、組織として対応するための共通認識が必要です。
坂本直紀の研修では、カスタマーハラスメントの判断基準、初期対応、記録の残し方、対応を終了する基準、管理職への報告方法などを、具体例を交えて分かりやすく解説します。
現場の従業員を守り、担当者が一人で問題を抱え込まない体制づくりにお役立てください。
ハラスメント対策研修例(管理職向け)
(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ
一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。
研修講師:坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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