
【概要】
厚生労働省は、「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正しました。具体的には、次の内容が特徴的です。
1.業務による心理的負荷評価表の見直し
- 具体的出来事に、「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加
- 具体的出来事に、「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加
- 心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充(パワハラの6類型すべての具体例の明記等)
2.精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し
悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合であっても、「業務による強い心理的負荷」が原因で悪化したときは、悪化した部分について業務起因性を認める
3.医学意見の収集方法を効率化
従前は専門医3名の合議により決定していた事案について、特に困難なものを除き、1名の意見で決定できるよう変更
【意見・感想・解説】
「心理的負荷による精神障害の認定基準」の改正について取り上げました。
今回は、認定基準にカスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)が追加されたことが最も注目されます。カスハラには法的な定義はありませんが、厚生労働省の資料では、以下のとおり記載されています。
「顧客等からのクレーム•言動のうち、当該クレーム•言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段•態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段•態様により、労働者の就業環境が害されるもの」
ここでのポイントは、以下の2つです。
[1] 顧客等の要求内容に妥当性はあるか?
顧客等の主張が、妥当であるか否かを判断します。 例えば、顧客が購入した商品について交換や返金を求められたとします。 仮に、商品に欠陥があれば、謝罪とともに商品の交換・返金に応じることは妥当な対応です。逆に、自社に過失がなく、商品にも欠陥等がなければ、顧客の要求には正当な理由がないと考えられます。
[2] 要求を実現するための手段•態様が、社会通念に照らして相当な範囲か?
例えば、長時間に及ぶクレームは、業務の遂行に支障が生じるという観点から社会通念上相当性を欠く場合が多いといえます。また、顧客等の言動が暴力的、威圧的、性的な面がみられる場合は、社会通念上、相当とは言えないことになります。
こうした点を客観的に確認し、カスハラに該当するか判断することになります。そして、カスハラによりメンタルヘルス不調となれば、認定基準により労災が認定される可能性が生じます。その結果、使用者側に非があるとして、安全配慮義務違反で損害賠償責任につながるリスクも生じます。
今一度、カスハラについて問題ないか確認しておくとよいでしょう。
ハラスメント対策研修のご案内
カスタマーハラスメント(カスハラ)が新たに「心理的負荷による精神障害の認定基準」に明記されたことで、企業にはこれまで以上に具体的な対策が求められるようになりました。
「顧客対応だから仕方がない」と見過ごされてきたケースも、業務起因性が認められ、労災の対象となる可能性があります。
こうした背景から、使用者側のリスクも高まっており、社内体制の整備と職員の意識向上が急務です。
坂本直紀の研修では、カスハラをはじめとした各種ハラスメントへの理解を深めるだけでなく、適切な対応の具体的手法や相談体制の構築についても学ぶことができます。
管理職・職員双方が学ぶことで、職場全体のハラスメント対策力を高めることが可能です。
ぜひこの機会に、ハラスメント対策研修の導入をご検討ください。
ハラスメント対策研修例(管理職向け)
(1)ハラスメントによるリスク
(2)セクシュアルハラスメントとは
(3)パワーハラスメントとは
(4)妊娠、出産、育児休業等のハラスメントとは
(5)カスタマーハラスメントとは
(6)ハラスメントと労災
(7)ハラスメントをしないために
(8)怒りの感情コントロール
(9)適切な指導
(10)相談対応上の留意点
(11)ハラスメントを受けた場合
(12)ハラスメント防止規程解説
(13)職場内コミュニケーション
(14)グループワーク
(15)まとめ
一緒にハラスメントのない職場づくりを目指しましょう。
研修講師:坂本直紀の紹介
坂本 直紀(さかもと なおき)
人事コンサルタント/特定社会保険労務士/中小企業診断士
坂本直紀 社会保険労務士法人 代表社員
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